戯れに「悪魔の花嫁」と「ハンニバル」について語ってみる

 さて。
「匂いの王国」に影がさしたように、レクター博士の「記憶の宮殿」にも床下が、地下牢が存在する。亡き妹ミーシャの記憶がそれである。レクター博士自身、クラリス・スターリングへの執着を、亡き妹のためにこの世の至高の場所を用意する、それがスターリングの場所なのだ……と自分自身で分析する。
……というところを読んでいて、「悪魔の花嫁」を思い出してしまったのは、これはもう年代である(笑)。いまの若い人にはわからないかもしれない、ごめんなさい。池田悦子原作、あしべゆうほ画のこの漫画は、現在は愛蔵版が秋田書店から刊行されている。デイモスとヴィーナス――同じ海の泡から生まれた兄妹が愛しあい、ジュピターによって罰を下される。デイモスはこの世の悪を一身に背負った恐怖の神となり、美の女神であったヴィーナスは黄泉の国の死の沼にとらわれ、生きながら醜く朽ち果ててゆく、という哀しい罰を。だが、現世にはヴィーナスの生まれ変わり、その名も美奈子という美しい少女がいた。彼女の骸を黄泉の国に連れ帰り、ヴィーナスが乗り移れば、デイモスとヴィーナスは永遠にともに暮らすことができる。しかし、デイモスはいつしか人間である美奈子を、美奈子の心を愛し始めてしまう――
連作短編集になるのだろうか。
読み始めるとやめられない面白さがある。未読の方は、ぜひ一度。なんだか、デイモスの苦悩がレクター博士にかぶってしまっておもしろいことも請け合い(笑)。



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