「どうせ、おとなにはなれないといいたいのだろう? たしかに、体は子どものままかもしれん。だが、このなかは……」そういうと、ピーターの額にふれた。「おとなにならなくてはならん」
          
   「ピーターと影泥棒」 デイブ・バリー、リドリー・ピアスン(海後礼子訳)  主婦の友社

 <星の守護団>と<敵方>の争いはひとまず決着し、モラスク島(ネバーランド)で暮らすピーターたちにはのびのびとした日々が待っていた。"フック船長"というあだ名になった黒ひげ船長も、子どもたちとの戦いを繰り返しているが、相も変わらぬ間抜けぶりで、ピーターの敵にはなりはしない。だが、そんなネバーランドに、不気味な船が近づいていた。乗っているのは、かつてピーターによって打ち負かされたスランクと、残酷なネレッサ船長、そして、そんな残忍なふたりでさえ恐れる黒マントをまとった謎の乗客。真の敵に向かいあったピーターは、彼らの望みがいまネバーランドにはない<流星砂>であり、そのありかを知るためにモリーたちのもとへ向かおうとしていることを知り、遠くロンドンにふたたび舞い戻ることにする。だが、空を飛ぶ少年となったピーターにとっても、ロンドンは遠く遠く、しかもネバーランドの自由のまったくない異邦だった……
 「ピーターと星の守護団」続編。
 ティンカー・ベルのやきもちぶりなどは原作そのままなのだが、ピーター自身は、子どものままでいながら、中身は徐々に成長している。リーダーとして「おとなにならなくては」いけないことを自覚している……ということで、原作ファンには、やっぱりちょっと違う……という雰囲気はある。が、冒険ファンタジーとしてはおもしろいし、原作ファンを楽しませるような仕掛けもあちこちにあって、楽しめる作りになっている。
 この話、まだまだ続きそうです。どうなっていくのでしょうか……



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