「まあ、まるで王子様みたいね。ちょっとドラマみたいで素敵」
                       
 「図書館内乱」 有川浩 メディアワークス

 メディア良化委員会という名のもとに検閲を行う組織と闘う図書館員、郁の物語第二弾。
内勤と外勤(というか戦闘部隊)に分かれる図書館部隊で、外勤も外勤、特殊戦闘部隊に勤務する郁だが、どう間違ったのか娘を蝶よ花よと育てたかったという夢を持つ両親にはそれは内緒。が、そんな両親が訪ねて来るという。上司である堂上や同僚の柴崎の助けを借りながら、必死に内勤のふりをする郁。だが、郁が思っていたよりも、以前の父とは違うようで……
 「図書館戦争」続編。
 「図書館戦争」では、かなり図書館のことが書かれていたように思うのだが、今回は、もうこれは図書館ではないなあ……と感じることのほうが多かった。ということで、むしろ、図書館とはまったく違う場を舞台にしたミリタリー恋愛モノだと思って読みすすめられるので、かえって気が楽かもしれない(図書館界にはこの作品をめぐって、かなりマジでやり取りしている方々もいるようなのだが、こんなお気楽でいいのか自分)。
 親子、兄弟、幼なじみ、女友達。いろんな人間関係が描かれ、それぞれに複雑な思いがあり、やりきれなさや誤解やわだかまりもあるけれど、それらがふいっと楽になる瞬間もまた描かれている。乗り越えた、というわけではなく、やりきれなさを抱えつつも生きていく術が描かれているところが、いっそすがすがしい。
 さあて。それにしても、郁と堂上の絡みに絡んだこの恋愛はこの先どうなってしまうのか……? 目が離せません。



「図書館戦争」
「図書館危機」
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