"It's not fair, it's not fair, I never did anything," she wept, as Ted watched her tears with round, sad eyes, and soaked them up for her. "It's not fair. I wasn't finished. I hadn't started yet......"
The Ship Who Searched     Anne McCaffrey, Mercedes Lackey


「歌う船(The Ship Who Sang)」シリーズ。邦訳「旅立つ船」。幼少のころから輝くばかりの才能を見せていたHypatia Cade、愛称Tiaは七歳のとき、原因不明の病気で全身麻痺におかされる。誕生日のお祝いにもらったTheodore Edward Bearにだけ涙を見せ、健気に耐えるTia。しかし、そんな彼女を見守っていた医師は、彼女をShell‐programに入れることを思いつく。そしてTiaは船となった。けれど、麻痺したときに"I can't touch anybody. And I won't ever again."と口にしたように、船となった彼女もまた、誰に触れることもできないのだ。
 どんなに彼女が自分のBrawn partnerを愛しく思っても、彼女は彼にふれることはできない。彼も、また。しかし、TiaのBrawnとなったAlexはふとしたことからTiaの幼い日の写真を見てしまい、彼女のことがどうしても心から離れなくなってしまう――
 Brawnが自分のBrainに恋をしたら、それはFixation(病的執着)と呼ばれてしまう。
I'm in love with someone I can't touch, can't hold, can't even tell that I love her.
 自分の想いすら告げること出来ないAlex。けれどTiaにはひとつの、大きな秘密の計画があった……
 Brain Shipは基本的に生まれてすぐShell programに入るので、家族とのふれあいを持たず、また誰かと肌を接した記憶も持たない。けれど七歳でプログラムに入ったTiaには両親に可愛がられて育ったことや、人のぬくもりをおぼえているだけの時間があった。「歌う船」シリーズといえば究極のプラトニックラブが売り物だが、さて、Tiaにはどう対処するのか……? 見所は、そんな感じで(笑)。遺跡泥棒がらみのアクションがあったり、伝染病の話があったりと飽きさせない作りになっているが、シリーズ内でいえば、「歌う船」についで、これが恋愛ものとしての要素が強い。さすがマキャフリイ、やってくれるよ、というラストまで、どうぞ読み進んでいってもらいたい。



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