「なぜなんだろうねえ。生きているといろいろあるし、生きているそのことだけでもさびしさを孕んでいるようなところがあってさ、それに、さびしさにすっかりとりまかれてしまうと、人は、だれかといたいというより、ひとりになりたくなるのかもしれないな」
           
「公園」木坂涼 (「人魚の鱗」所収) ぜんにち

 ごくごくたまにだけど、お母さんはひとりで公園へいく。舞子がいっしょにいく、といったとき、お父さんはひとりでいかせてあげるのがいいよ、といった。どうしてお母さんはひとりで公園にいくんだろう。日曜日なのに。お父さんもいるのに。
 短編集。というより、ショートショート集。もとは産経新聞生活面の児童書コーナーに掲載されたもので、一回読みきり。子どもが読んでも大人が読んでも「思わず元気が出て明るくなるお話」。この執筆人がとんでもなく素晴らしい。童話作家、児童文学作家ばかりではない。詩人、作家、絵本作家と豪華ラインナップ。ということで、あさのあつこもさとうさとるも今江祥智も松谷みよ子もいれば、有吉玉青も黒井千次も川上弘美も志茂田景樹もいるのだ。すごい。こんな贅沢な本があっていいのか。
 表題作「人魚の鱗」は、加門七海が書いている。りっぱなたてがみを持っていばっていたライオンの王様が、ある日、人間が目の中から落としたという人魚の鱗――コンタクトレンズを手に入れる。目の悪い王様が、コンタクトレンズを入れたことによって得た真実とは。
 可愛らしい作品が多い。オススメである。




オススメ本リストへ