突然の手紙で驚いたと思います。みんなは卒業式の後、タイムカプセルを埋めたことを覚えているよね?
           
   「タイムカプセル」折原一 理論社

 元栗橋一中三年A組のメンバーに届いた一通の手紙。「選ばれ死君たち」などという言葉を使い、郵便ではなく不気味な「サプライズ」とともに届けられた手紙。駆け出しのカメラマン、ユミはタイムカプセルをネタにした作品集を作ることを口実に、かつての同級生たちに接触する。二十数人いたクラスのなかで、タイムカプセルに賛同した8人の「メンバー」。十年たち、彼らはそれぞれに大人になっていたが、このような手紙を送ってきた相手には覚えがない。……いや。メンバーの中にいる、一度も顔を見たことのない同級生……もしや、差出人は彼なのでは? サプライズは不気味な雰囲気をともなっており、どうやらユミ以外のメンバーが知るエピソードが、この手紙の背後にはあるらしい。突然の事故でタイムカプセルを埋めるときには立ち会えなかったユミは、そのとき他のメンバーがかかわったと思われる事件の真相を知ろうとするが……
 不気味な雰囲気が強い割には最後はあっけないという気もしないではないが、タイムカプセルという小物のせいで許す(苦笑)。そういえばわたしも埋めたんですよ、タイムカプセル。あれ、いったいどうなったんでしょう。たしか、2000年になったら、だったか、21世紀になったら、だったかに開封するはずだったんですが……もうとっくに過ぎちゃってる。うーむ。何を埋めたかさえさっぱりおぼえていないが、こんな小説を読むと、あのカプセルを開いてみたくなる。だれか「サプライズ」と一緒でもいいから、開封計画立ててくれないかしら……



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