「夢を追いかけて、恐れずにいろんなことに挑戦してほしいの。あなたの"光"をともしてほしいのよ」
    
 「スウィート・メモリーズ」ナタリー・キンシー=ワーノック(金原瑞人訳)   金の星社

 バーモント州の農場で暮らすシェルビーは、ちょっとひっこみ思案な性格の女の子。教室でみんなの前に立つと思うと体がふるえてくるし、とにかくまわりから注目されるようなことは絶対にいや。けれど、他の点ではごくふつうの女の子だ。楽しみにしていた誕生日パーティがおばあちゃんが倒れたことでつぶれるとぶつぶつ不平をいい、おばあちゃんからのプレゼント、古くさいカメラにはあっけにとられていらいらする。
 けれど……そのカメラにはたくさんの思い出が含まれていたのだ。おばあちゃんが見せてくれたアルバム。最初は会ったこともない、とっくに死んでいる人たちの写真なんて見たってしょうがないと思っていたシェルビーだけれど、いつしかすっかりそのアルバムのとりこになってしまう。そしてシェルビーは気づくのだ。おばあちゃんの中にその思い出が生きていること、自分の中にもその思い出につながるものがあることを。そして、教会で独唱するおばあちゃんをすごい、とは思っても、自分は絵のコンテストに出品することなど思いもつかないシェルビーに、おばあちゃんはあなたの光をともして、という。
 光をともす。牧師さんは「あなたがたの光を人びとの前でともしなさい」という。おばあちゃんは、自分が教会で歌うことを「わたしなりに光をともそうとしているだけです」という。光、ってなんだろう。光をともす、ってどうすることなんだろう。
 どこにでもいるような女の子シェルビーとともに、いろいろなことを考えさせてくれる、そんな一冊だ。自分の家にあるアルバムを引っぱり出してみたくなった。



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