「村おこし、すべ」
         
 「オロロ畑でつかまえて」 荻原浩 集英社

 日本の最後の秘境といわれる大牛山の山麓に位置する牛穴村。過疎の村というよりは、ほとんど廃村といった風情のその村をなんとか活気づけようとした青年会長、米田慎一が考え出したのが、村おこしだった。広告代理店を雇って、村おこしのアイデアを出してもらう、そのためには大学時代の友人に頼む……と、村一番のインテリ、東京の大学を卒業した慎一の言葉に全員が賛成するが、そこには大きな誤算があった。慎一が思っているほど、大学時代の友人は彼のことを記憶していなかったし、そもそも村の予算である500万円ちょっとで引き受けてくれるようなところではなかったのだ。東京に出てきたものの途方にくれた慎一と悟。そんな彼らが飛び込んだユニバーサル広告社は、傾きかけた弱小代理店。それでもなんとか、代理店の社長石井と、企画・制作担当の杉山、デザイナーの村崎は牛穴村へとヒアリングに訪れるが、そこは予想以上に日本一のド田舎、村おこしの中心に据えるようなネタの何もないところだった。そこで彼らが編み出した究極の手段とは……
 牛穴村の田舎ぶりを笑いものにしてはいけないと思うのだが、笑える。村の中ではバイリンガル(標準語と牛穴方言が話せる)といわれている慎一だが、東京の中では浮きまくりの田舎ものである。だが、後に人々が気づいていくように、それは笑ってよいことではなく、純朴で裏表がなく誠実という、都会の日本人が失ってしまった心を持った人々の姿なのだ(たぶん)。
 最後のオチがまた途方もなく見事です。オススメ。



オススメ本リストへ