どうして笑う――こんなにひどい映像を見ながら。
 なぜそんなにも美しく微笑む――死者達の群れを眺めて。
                
     「闇ニ笑フ」(「なぎなた」所収) 倉知淳  東京創元社

 脚本家志望の「僕」が働くバイト先の映画館で、新進気鋭の映画監督による作品が上映された。若手作家による実験的な意欲作だが、白骨、腐乱死体、焼死体、礫死体、射殺死体、水死体……と、次から次へと気味の悪い残虐な死体映像が映し出されるシーンもあって、老若男女問わず、客席の反応は悪い。不愉快そうに顔をしかめる人、完全に目を覆ってしまっている人。しかしそんな客席にただ一人、うっすらと微笑みをたたえて座っている女性がいることに気づいたとき……――
 倉知淳の短編集『なぎなた』『こめぐら』同時発刊。
 ミステリとしては『なぎなた』のほうが小粒ながらにおもしろいものが揃い、ばかばかしさといった面では『こめぐら』に軍配あり。作者いわく、「本格ミステリの入門編」を書き続けているそうなので、ミステリ初心者にはオススメの2冊。
 基本的にはスリルやサスペンスというよりも、ほんわかほのぼのした作品が多いので、安心して読めるのではないだろうか。
 個人的には、『こめぐら』所収の『Aカップの男たち』のバカらしさが……なんていうかもう、サイテー。といった感じでオススメである(笑)。



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