ではなぜ辞職するのか?
 愛美は事故で死んだのではなく、このクラスの生徒に殺されたからです。
                
   「告白」湊かなえ 双葉社

 中学1年最後の終業式、担任の森口悠子が唐突にはじめた告白。それは事故で死んだと思われていた森口の一人娘、愛美がこのクラスの生徒に殺されたことを告発する内容のものだった。しかし、森口は彼らを警察に突き出すことはないという。だが、その代わりに彼女が目論んだ復讐とは――
 物語は、森口悠子の告白に始まり、そのクラスのとある女生徒、犯人と目された少年の家族、少年自身……それぞれの視点からの告白がなされる。だが、そもそもの事故にせよ、森口が残した波紋に対処しきれないクラスにせよ、森口自身にせよ……語られる物語は一人称であるが故に、どこか独りよがりの感をぬぐいきれない。誰もが自分は正しい、あるいは、自分のしていることには理由があると思って行動している。だがそれは他の誰をも納得させられるものだったろうか? ――否。だからこそ、独りよがりの連続が次の、そしてさらに次の殺人を呼び込んでしまう。それは悲劇か、喜劇か。ラスト一行まで目が離せない。
 週間文春08年ミステリーベスト10の第1位。その他、数々の賞で上位を獲得し、09年の本屋大賞にもノミネートされている(09年2月現在)。これで小説推理新人賞受賞作……つまりは新人というのだからすごい。物語は森口の告白ではじまり、告白でおわる。といっても、森口は大人だからすべての物事をちゃんとわかって行動している、という視点で読んでしまうと、ラストに本当に納得がいくのか、ということにもなりかねない。いや、やはり全員が独善的っていう話なのかもしれないので、それならそれでいいのだが(ネタバレぎりぎり)。
 ともあれ、読みやすい話であることは間違いない。自分の行動や思いが誰かに本当に理解されることはないんだよなあ……なんてことも思えてしまうお話。オススメ。




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