「ここにはわたしの居場所がない。ここだけじゃなく、どこにも居場所がない。この世でひとりぼっち。話しかける相手もいないし、この孤独感や孤立感や、いつも完ぺきでいようと一生懸命なのを、誰もわかってくれない。誰もわかってくれないし、誰も気にかけてくれない」
    「鏡の中の少女」スティーブン・レベンクロン(杵渕幸子・森川那智子共訳 
                             集英社文庫


 フランチェスカ・ルイーズ。162.5センチ、44.5キロ。ある日、フランチェスカはダンス教室のマダムに「もっとスリムに」といわれたことから、過激なダイエット、拒食への道をおちてゆく。自分につけた「ケサ」という新しい名前とともに。
 ケサには優秀な兄、面倒ばかりかけている問題児の姉がいて、両親は手のかからないケサを安心できるいい子だと思っている。でも、ケサの中にあるのは、ほんとうはもっともっと理解してほしいという思い、たまらないほどのさびしさだ。
 多かれ少なかれ、ケサのように感じているひともきっといるだろう。いい子でいることを求められて、周囲の期待もそれなりにあって、自分の理想の姿もそれなりで……けれどもし、そのために壊れてしまいそうなほど追いつめられてしまうんだったら、それはとてもかなしいことだ。無理しなくていいんだよ。っていいたくなってしまう。
 無理しなくていいんだよ。
 あなたが「いいこ」じゃなくっても、あなたが本当の姿でいても、好きでいてくれるひとはきっといるから。


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