「火あぶりの刑になって焼き殺されたんだよ。魔術を使った罪で」
                                  「ジンクス:恋の呪い」 メグ・キャボット(代田亜香子訳) 理論社

 アイオワから、とある事情でニューヨークに転校してきたジーン。通称、ジンクス。生まれたときには激しい嵐で大停電、すぐ物にぶつかっては壊してしまう。周囲で悪いことばかり起こるので、ジンクス。引っ越してきたマンハッタンの家には、おじさん、おばさんといとこたちがいて楽しく過ごせるはずだったが、いとこのトーリーは五年前とはまるで別人。マリファナを吸い、酒を飲み、しかも自らを魔女と称して気に入らない相手に魔術を使う、いやな女の子になっていた。そんなジンクスの唯一の救いが、隣に住むかっこいいザック。ザックは、トーリーの家の留学生ペトラが好きみたいだから、両思いにはなれないだろうけど、ひそかに思うくらいならかまわないだろう。友だちとして、つきあうくらいなら。けれど、ザックに思いを寄せるトーリーは、ザックと仲の良いジンクスを目の敵にして、ついにふたりは、魔術で対決することになってしまう。
 好きな人に振りむいてもらう恋の呪文。相手に悪いことをさせないための拘束の呪文。そして、大切な人を魔術から守るためのおまもり。
 魔術を信じているトーリーに対して、そんなものは信じていないとしらを切るジンクスだが、実は、ジンクスには自分が魔女だと信じるだけの根拠があった。第一、そのためにアイオワからニューヨークにまで転校してこなければならなかったのだ(そもそも、ジンクスとトーリーのひいひいひいひいおばあちゃんは、魔女狩りにあって火あぶりの刑を受けてるのだし)。
 ふたりの少女は、ほんとうに魔女なのか? そして、ジンクスの過去とは。ザックとの恋の行方は?
 さすがメグ・キャボット。いろんなことが次々におきて、飽きさせない。ポップでかわいい感じの物語。




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