「わかりました。本屋の謎は本屋が解かなきゃ、ですね。任せてください」
      「配達あかずきん」(「配達あかずきん 成風堂書店事件メモ」所収) 大崎梢 東京創元社

駅ビルの六階にある本屋、成風堂で働く杏子は、書店員として、日々お客さんの役に立ちたいと思い、書棚を整理し、よくわからないんだけど本を探している、というような悩みにもおつきあいする。けれど、ある日お客さんから見せられたメモ「あのじゅうさにーち いいよんさんわん ああさぶろうに」からは、どうやったって本を探せるはずもない。そして、それでもなんとかしたい、というときに杏子が頼るのは、いつでもアルバイト店員の多絵だった。レジペーパーの交換にももたつき、カバーさえちゃんとかけられないような多絵だけれど、こういう謎めいた事件のときには、いつだって頼りになるのだ。そして、多絵がだした答えとは……
短編集。
本に対する愛情、本を読む人に対する愛情のひしひしと伝わってくる本である。
和歌に託して伝えた恋がある。書店ならではの暗号を用いた救援信号もある。ただ本というだけで、こんなにもたくさんのドラマがある。
自分に合う本を探している人には、ぴったりの本を渡したい。図書館じゃない、古本屋でもないんだから、折り目や破れのない綺麗な本を渡したい。そして、もちろん
「書店」なんだから、売上に貢献するようなディスプレイを考えたい。がんばっている本屋さんのすがすがしい物語。わたしの行きつけの書店にも、杏子や多絵みたいな書店員がたくさんいるとうれしいんですけどねえ……




「晩夏に捧ぐ : 成風堂書店事件メモ(出張編)」
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