「飲めよ」
 それから、当たり前のことのように付け加えた。
「地球の最期は近いんだ」
          「銀河ヒッチハイク・ガイド」ダグラス・アダムス(安原和見訳)
河出文庫

 ロンドン郊外に住むアーサー・デントの家は、バイパス建設のためにいまにもブルドーザーに押しつぶされそうになっていた……が、実はそれどころではなかった。銀河パイパス建設のため、地球は消滅寸前の危機にあったのだ。
 といっても、たった四光年しか離れてないというアルファ・ケンタウリの出張所に五十年も前から張り出してあった設計図や破壊命令なんて見たこともなく、不服申立をする時間はあったはずだといわれたって、あと地球が消滅しようというときに、地球人になにができよう。地球はあっというまに消滅し、アーサーは地球人最後の生き残りとなってしまう。頼りになるのは、たまたま地球にいた宇宙人(なおかつアーサーの友人)フォードと、宇宙でヒッチハイクするための必需品である、『銀河ヒッチハイク・ガイド』。表紙には大きく「パニクるな」と書かれてはいるが、この状態でパニックにならないほうがおかしい。あたふたしながらも、アーサーはなんとか宇宙で生き延びようとするが……
 どたばたギャグ連発のSFコメディ。なんというか、大筋も細かいところも、とにかくぜんたいにバカバカしくて、くだらない。地球消滅で明らかになった、そもそも地球はなんのために誰が作ったものだったのか……なんていうくだらない話を、楽しんでみよう。