「ちゃんと解決だと!」ベイリーフ警部は歯がみし、唸るように言った。「よう吹いたわ!どれもこれも血と破壊の見本市だぞ。それをちゃんと解決などとは片腹痛い。いか、惑星オリアスに至っては、あのあと住む者もなく、今やゴースト・プラネットと化してしまったのだぞ!」
         
 「ダーティ・ペアの大冒険」 高千穂遙 早川書房

 ケイとユリ。WWWA(世界福祉事業協会)所属のトラブル・コンサルタント。ただし、彼女たちはトラブルを解決するのに平和的手段というよりはむしろ、強制的手段でムリヤリ始末をつける傾向にあり、あっちが爆発し、こっちが燃え上がり、あげくには惑星ひとつが全滅の危機に陥る。正式なコードネームは「ラブリー・エンゼル」。しかし、いまや誰もそのような可愛らしい名では呼ばない。彼女たちこそダーティ・ペア、一度現れたが最後、人死にが出ずに終わることはまずない、最強最悪のペアである……!
 アメリカのアクション映画を観ているような気分である。アクションにつぐアクション、しかも主役は露出狂ぎりぎりという格好の銀ピカの美女ふたり。一行で大陸がほぼ潰滅、130万人近くが全滅するこのスケールの大きさ。とてもじゃないけど十九歳のうら若き乙女たちのしわざとは思いたくない、このギャップ。
 とにかく、肩の力を抜いて読めること請け合いの一作。しかも、よく読めば(笑)、一応、彼女たちもトラブルを論理的に解決していないわけでもないのである。ただし、その解決がどこがどうなったのか破壊的になるだけで(笑)。
 高千穂遙にはダーティ・ペアだけでなく、クラッシャージョウのシリーズもあり、ともかくその日本人作家離れしたスケールの大きさと笑いのセンスは、ぜひ一度、手にとって楽しんでもらいたい。



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