追記


 しかし……なぜ、芝居?
 演劇、芝居……恩田陸って劇団かなにかやってたっけ?
 作家が自分のよく知らない世界を書くのは別にかまわない。もしかしたら、恩田陸も元劇団員とか、いま芝居の脚本を書いているのだとか、そういうことがあるのかもしれないし。
 けれど、わたしにとって……芝居、劇団、ときたら、やっぱり中山可穂が思い浮かんでしまうのは仕方のないこと。読みながら、ついつい、
「ここ、可穂さまならどう書くの?」
「中山可穂が女優や脚本家の心情を書いたら……?」
 と思わずにはいられなかった。
 今回は「ガラスの仮面」のオーディションのように、劇中劇のシーンがけっこうある。台詞まわしや演出。これがもし中山可穂の手による演出だったら……?
 そういえば、弱法師出版からもう二年以上たつ。
 いまごろどうしているんだろう……と、期待と不安でどきどきしてしまうのがファン心理というもの。どこか遠くに逃げているんだろうか、とか。スランプで苦しんでいるのだろうか、とか。
 別の作家の作品を読みながら、可穂さまのことを思い浮かべてしまうあたり、なんだかんだいってやっぱりまだまだ重症である。

   とかいっていたら、「ケッヘル」が刊行されました!! ばんざーい。