「所詮は子供の遊びだな!」
 鼻で笑った上野に大神が一応という感じで突っ込みを入れる。
「つーか、学祭ってのは本来は子供の遊びでウチが異常なんだけどな」
                 
 「キケン」有川浩  新潮社

 成南電気工科大学機械制御部、略称「機研」。エアコン、冷蔵庫、仮眠用ロフト完備と学内屈指の快適空間を誇り、工具類やパソコンも揃って、貧乏学生にはうれしいクラブ――ではあるが、一方そこは、犯罪すれすれの爆弾魔、成南のユナ・ボナー上野直也と、泣く子も黙る大魔神、大神宏明が部長、副部長として権力を揮う恐ろしい空間でもあった!
 ……というような話でもないんですが。
 とりあえず、物語は、危険な機研についうっかり入ってしまった新入生二人組を中心に、理系大学生の日々がテンション高く、圧倒的なスピードで描かれる。一年分の軍資金を稼ぎ出すためにと、他を蹴散らす勢いで夢中になる学園祭のラーメン屋。しょぼいロボットコンテストでも、目にもの見せてくれようと、反則技すれすれでやっちまったロボットコンテスト。大人だったら馬鹿らしいと思うようなことに夢中になって、意地になって。
 いまは結婚して落ち着いた(?)大人になった元山が、妻に自分の大学時代を語る、という形式で進められるが、「横道世之介」のような、振り返って懐かしいなあ、では終わらない「いま」があるのは、有川浩の姿勢なのか。
 表紙やら各章のとびらなど、遊び心満載。結局、有川浩って、読者を楽しませることに労を惜しまない人なんだな、と思う。



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