「鈴原……本当は……おまえが姫神の同一人物かもしれないって、ありだと思うか?」
      
   「RDG:世界遺産の少女」荻原規子  角川書店

 夏休みが終わり、学園に戻ってきた泉水子が感じた違和感。だが、学園祭の準備に追われてすぐにそんなことは忘れてしまう。しかし、全校生徒が参加し、かつて八王子城で繰り広げられた合戦を再現しようという学園祭の試みの裏には、敵対する陰陽師の思惑も隠されているようで……――。そんなばたばたした雰囲気の中、ひと前で封印であるはずの三つ編みをほどかなければならなくなった泉水子。気を確かに持つことでなんとかその場を乗り切るが、制服に着替えた泉水子を迎えた深行が出会ったのは、やはり泉水子本人ではなく……
 RDG、待望の第4巻。
 そもそもこの物語は、山奥で何も知らずに暮らしていた泉水子が、東京の学園で自分と同じように不思議な能力……絶滅寸前の能力を持つ生徒たちと出会う、という学園ものの面と、泉水子が持つ能力の不思議、泉水子に憑依する姫神とは何か、というような謎があったかと思うのだが、今回、その姫神の謎がかなり明らかになる。そしてそれは、不本意ながらも泉水子を守る立場にいる山伏の深行、そして泉水子本人をも震撼させるような、恐ろしい事実。ときに反発しあい、少しずつわかりあい、歩み寄りつつあるふたりが、今後この事実にどう向き合っていくのか、ということがひとつのポイントかもしれない。
 それにしたって、全校をあげての学園祭の雰囲気が出ていて、すごく楽しそう。これくらい「全員」一致で学園祭を盛り上げることができるといいですね。学校の建てられた場所の歴史から学園祭テーマを思いつくなど、いろいろな工夫もすばらしい。
 学園生活の中で不思議なことが描かれていくので、中高生に読みやすいシリーズ。未読のかたは、ぜひ。オススメ。



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